「パリ中心部に奈良を見た」−パリ2日目(前編)−
| 目覚めたら、昨日の疲れはなくなっていた。朝食のパンがやたらにうまい。 「今日は、メトロを上手に使おう」 最初の目的地、マビヨン(Mabillon)駅はメトロで2駅。昨日だったら歩いていた距離だ。しかし1日中これをやっていると、合計ではかなりの距離を歩くことになる。今日はムリせず、細かくメトロを使うことにした。 マビヨン駅で降り、サン・ジェルマン・デ・プレ教会(Eglise St. Germain des pres)へ。ぼくの場合、パリに行ったらここへ行かないと始まらない。1950年代にはボリス・ヴィアンや若きセルジュ・ゲンスブールがたむろし、モダンなパリ文化の中心地だった。 教会に入る。初めて気がついたが、柱や壁に思ったより色がついている。朱色、モスグリーン、金箔を細く切って貼った切金文様。これは、奈良の古寺と同じ色使いである。白い粘土の壁に、朱と緑と金。東大寺戒壇院の仏像にもこの色が残っている。ところどころ色が剥げ落ちて、地の白色が見えるところも同じ。 奥には、聖サン・ジェルマンの像。パリの司祭だった聖サン・ジェルマンが埋葬されたのは西暦576年。以来、このあたりは「サン・ジェルマンの草原(デ・プレ)」と呼ばれるようになった。教会の名前の由来となるエライ人なのだが、そのわりに細面(ほそおもて)で、ひょろりとしている。右腕の肘をまげて、手を肩の高さにあげて、手のひらをこちらに向けている。 「ちょっと、まってね...」 と、言っているような感じだ。突然訪れたので、準備ができていなかったという感じである。 教会を出て、セーヌ河を渡る。ポン・デ・ザール橋(Pont des Arts)は歩行者専用の橋だ。"Pont"は橋の意味。テレビのCMでもよく見かける橋は、とてもロマンティックな雰囲気を漂わせている。対岸まで渡りきると、こんどは折り返してポン・ヌフ橋(Pont Neuf)を渡ってシテ島に入った。まっすぐシテ島に行けばいいものを、Pont des Artsを渡りたいばっかりに、遠回りしたというわけだ。 シテ島に建つコンシェルジュリーは、フランス革命時には牢獄として機能した古い館だ。通りに面した大きな塀の途中にいきなり小さな門があり、警察がたっていてものものしい雰囲気だ。ここが入口だった。荷物チェックを受けて中へ入る。ギギーッと古い扉をあけると、ホールに真新しい拝観受付がある。そこから囚人達の広い食堂や牢屋の跡が見られる。 牢獄の暗い石室には、18世紀のフランス兵の人形がいる。観光地にありがちな演出だが、あきらめた表情ですわりこんでいる囚人たちの姿がリアルだった。ここに入れられたのは政治犯で、知識人たちが無実の罪で押し込められていたりするのだから、それは悲しかっただろう。 中庭を挟んで女性用の棟がある。男性が押しかけないように厳重に柵がしてある。柵の先端が剣のように尖っていて、映画「マッドマックス」に登場した車みたいだ。刺さったら痛いよこりゃ。マリーアントワネットの独房もある。質素な服を着たマリーアントワネットは、何もかも覚悟した様子で聖書を読み、神に祈る日々を送っている。監視役の兵士が三人いて、トイレも丸見えだ。 なんとも重苦しい遺跡を出ると、突然腹がへった。 「お腹へった! お昼早く食べようっ」 メトロでランビュトー(Rambuteau)へ。地上に出ると、いきなりポンピドゥー・センターがあった。何度見てもおかしな建物だ。パイプむき出しの工場。映画のセットのようなウソくさいペイント。 その前の広場を挟んで、大きな雑貨屋があり、そこにいい絵ハガキがたくさんあった。空腹も忘れ、念入りにチェックをする。パリでは漢字を使ったデザインが流行っているようだ。ヘタな書道作品の絵ハガキはもちろん、大きな額に入った書も売っている。これは自分の作品も持ってきて、見せればよかったと思った。作品制作を依頼してもらえるかもしれない。 普段、ぼくはネット経由で海外から書の依頼をうけているが、フランスからの依頼はほとんどない。だがフランス人が和風好きなのは知っていたから、売りこめば成果はあると思っていた。和風趣味のなかでも、書が人気のようだ。これはいける! 後で作品を見せてみよう。ぼくはかなり本気だった。実際、日本から作品を持ってきていたのだ。 しかし、作品はホテルに置いてきた。仕方ない、パリ散歩を続けよう。シモン・ル・フラン通り(rue Simon-le-Franc)のイタリア系レストラン"Chao"。店の名前はさえないけれど、今回の旅で、ここの料理が一番うまかった! Natsuの食べたパスタはニンニクを効かせ、バジルの香りもさわやか、しかも生クリームをつかってフランス風の感じも忘れず、異常にうまかった。ぼくは仔牛のステーキにマッシュルームのクリームソース。香ばしく焼けた仔牛のうまみに、ワインビネガーが入っているのか、ちょっと酸味のあるまろやかなクリームソースがまとわりついて、両者が味を高めあう! これも最高にうまかった! |
![]() サン・ジェルマン・デ・プレ教会は外見もいい。 「ロマネスク様式」というそうな。
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昼めしくって元気いっぱい!
後半はマレ地区の古い街並、「パリでもっとも美しい公園」ヴォージュ広場
そしてあこがれのサン・ルイ島へ。

