「サン・ミシェルの花売り」−パリ3日目(後編)−
| どんより曇った空の下、なにを目指して歩いているのかわからなくなってきた。 小雨が降っているし、小腹は減るし・・・。そんな時、目に入ったのが、中華の惣菜屋だった。 「・・・・中華、食わない?」 通り沿いの中華料理屋に入った。ショウケースから惣菜を選んで、店内で食べられる。カレーピラフと鶏肉のバジル風味の炒め物。それに餃子を注文。餃子は、"Rabioli Pekinois"(北京風ラビオリ)と書いてあった。だから餃子を注文するのに「ラビオリ・ペキノワ」と言わなきゃならなかった。 時刻は3時前。店はがら空き。中国系の店員たちが、お箸で遅い昼食をとっている。ぼくらも隣のテーブルにつき、食べ始めた。うまい。どれも、めっちゃうまかった。鶏肉の炒め物は、醤油味なのにバジルのさわやかさがマッチして、いくらでも食べられそうだった。ジャスミンティーも良かった。スタンドで買った雑誌をめくりながら、ぼーっと静かに過ごした。 しばらくすると、白人の女性が、一人でふらりと入ってきた。つづいて老婦人、若奥様、OL。一心に食べ続ける人。仕事の書類に目を通している人。雑誌をよみながらお茶をすする人。パリの平日の、まったく普通の日常風景。 雨はずっと本降りで、止む気配はない。窓の外は、通りのむこうにボン・マルシェ(Bon Marche/パリの老舗デパート)が見える。食料品館が楽しいらしい。さっそく行ってみた。確かにここは楽しめる。茶、スパイス、色とりどりのパスタ、いろいろな缶詰がある。生鮮品売り場では、氷の山に魚が並んでいる。日本の魚屋とまったく同じだ。友人への土産に、パリのインスタントラーメンとエスカルゴの缶詰を買った。 パリ最後の夜がきた。 「こんなんでいいなら、オレも書くよ」 どうもタイミングが悪い。ホテルにもどって作品を見せてみようか。店員が、ここの品々を好きで扱っているなら、きっとぼくの作品に驚くだろう。 でも、そこまでやる余力はなかった。それよりも、せっかくわが妻、Natsuとの旅だから、パリ最後の夜を過ごす方が大事だ。 サン・ミシェルには、お手ごろな値段のビストロがたくさんある。安くてうまい。サン・ミシェルは大好きなエリアだ。 まずは軽く、シャンパンで乾杯。すると、黒人の若者が、さっと赤いバラを1輪、さしだしてきた。 「花、いくらするの?」 さてオードブル。Natsuはオニオンスープ、ぼくはサーモンカルパッチョ。お皿に淡いピンクのサーモンと、すこし黄色いオイルとビネガーがとてもきれいに盛りつけられている。ガサツな兄ちゃんの店という印象だったから、きれいな盛り付けに驚いた。メインは、彼女は焼いたターキーのクリームソース。こちらは豚肉のソテーにオレンジソース。ちょっと甘くて酸っぱくて、これもかなり良かった。 ワインはポムロール(Pomerol)をPichet(小さな壷入り)で頼んだ。ふんわりとふくよかなボディで、わりと深みのある味わい。なかなかいいワインだった。昨日のボージョレ・ヌーヴォーは酸っぱくてダメだったので、このポムロールが、パリ滞在中、最初で最後のうまいワインとなった。 |
![]() Cherche-Midi 通りには日本の骨董を売ってる店があった。
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いよいよ次はベルギー・ブリュージュへ!
ワインの次は、ベルギービールの芳醇な世界が待っている。
だが、パリを発つ直前に、新たなドラマが展開する!

